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【中国語】初級レベルから半年の独学で話せるようになるための勉強法・参考書まとめ(総合編)

中国語は、日本人にとって最も身近な外国語の一つです。将来性も大きいために、勉強を始めようと思っている方も多いのではないでしょうか。

語学は長い年月をかけて身に着けていくものと考えられる方はとても多いです。それに加えて、中国語は独学で身に付けるのが大変だという話を耳にする方もいると思います。一般に独学が難しいと言われる最大の理由は、文法でも単語でもなく、その発音です。中国語は日本語の倍以上ある子音と母音に加えて、声調(要するにトーンの違い)を聞き分ける言語で、とっつきづらい面があります。

ですが、独学であっても半年みっちりと正しい方法で勉強を進めれば、中国語を身につけることは可能です。

半年で話せるようになるという戦略

具体的な勉強方法を紹介していく前に、半年の独学で話せるようになるための目標を考えてみましょう。

旅行で使いたいなど特別な目標がある方もいるとは思いますが、大多数の人はそこまで具体的な目標をまだ立てていないと思います。そんな方には、最初のステップとしてHSK4級合格を目指すことをおすすめします。

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HSKは世界的にメジャーな中国語の試験で、日本では中国語検定と並んでよく知られています。中国語検定は日本の機関の検定ですが、HSKは中国の機関の検定であるため海外でも有効であること、また問題傾向として余計な知識(いわゆる受験英語的なもの)をあまり要求しないという点でHSKの方がおすすめです。

ちなみにHSK4級は1級から6級まであるうちの上から2つ目です(英検とは数え方が逆)。HSK6級も最上級であるとはいえ、他の言語の検定や資格と比べるとかなり楽な方に入ります。4級をとってしまえば、 5級6級の取得も難しくはありません。

目標なく伸び伸びやるのも一つの手ではありあますが、やはり人間というものははっきりとした目標がないとやる気を失ってしまうう生き物です。具体的な目標をつくるために、中国語の試験を受験するというのは一つの手です。試験の類のものを受けないにしても、自分なりに目標は立てておいた方が良いでしょう。

とはいえ、試験に向けた語学はしたくない、という方も多いはず。HSKを目標に勉強する方も、具体的な試験勉強を始める前にどんなことをしておくべきなのかは学んでおきましょう。

なお、HSK4級に合格したからといって話せるようになるわけではありません。あくまで4級合格は目標の一つです。

6ヶ月をどう振り分けるか

目標の違いによって何に力を入れるのか変わってくるのは仕方のないところですが、どんな目的で中国語を学ぶのであれ、1カ月は発音練習に割くことをお勧めします。

残りの5ヶ月どの勉強をどのくらいの比率でやるかといった話が重要でないとは決して言いませんが、何よりはじめは発音に力を入れるようにしないと絶対に中国語は上達しません(スピーキング以外でもそうです)。というか、発音をしっかりとやっておかないと後になって本当に後悔します。

インプットとアウトプットについて

HSK4級合格自体は、アウトプットを軽視してもいけるといえばいけますし、それは先ほどのリンクの記事で紹介しています。ただし、「話せるようになる」ためにはインプットとともにアウトプットが必要になってきます。

インプットとアウトプットをどれくらいの比率で取り入れるべきかは意見の分かれるところです。正直これは学習者それぞれによるとしか言いようがありません。勘違いして欲しくないのは、アウトプットしたからといって話せるようになるわけではないことで、アウトプットの効果が発揮されるのは適切なインプットがあるからです。しかし、まだアウトプットをするのには早すぎると思い込み、インプットばかりも続けてしまうパターンがあるというのも事実。理想としては、「覚えた単語と構文を使ってみる」というアウトプット過程で「あれ?うまく使えない」となったところでインプットを挟んでいくという形でしょうか。

発音の勉強法(最初の1〜2週間)

言うまでもなく、中国語を勉強するうえで一番意識してほしいのは発音です。注意したいポイントは3つ、「子音」と「母音」と「声調」です。

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子音も母音も日本人にとっては難しい発音が多いですが、はじめのうちはあまり気にする必要はないと思います。それ以上に気にしてほしいのが声調の上げ下げです。声調は間違っていると本当に通じません。

発音の勉強法は、実はものすごくシンプルで「ひたすら聞いて、ひたすら真似する」に尽きます。自分だけでやっていると間違っている発音などに気づきずらいので、録音しながらやったり、声調確認アプリを使うのもおすすめです。

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英語学習のためにわざわざ発音の本を買うことはないかもしれませんが、中国語は発音が肝なので入門書や文法書の他にもう一つ発音に特化した本を用意しておきましょう。

おすすめなのはこの1冊です。

改訂新版 紹文周の中国語発音完全マスター

改訂新版 紹文周の中国語発音完全マスター

  • 作者:紹文周
  • 発売日: 2003/03/25
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

先ほども触れたように発音の勉強法はいたってシンプルなのですが、おそらく発音を勉強する上で難しいのは母音のピンインだと思います。

声調は何回も何回も音を聞いていれば慣れてきますし、子音もそこまで多くはありません。そり舌音や、有気音と無気音の区別は日本人に難しい点もありますが、コツさえ掴めば自然とできるようになります。

それに対して中国語の母音とその母音のピンインというのは非常に複雑なんです。

7つの基本母音はいいとして、二重母音以降が大変です。そう、綴りと発音が一致しないケースが多いのが厄介なところです。

例えば、「ian」というピンインの綴りは「イアン」と読みたくなってきてしまうところですが、実際には「イエン」と読みます。ですが、それにgがついた「iang」は今度は「イアン」と読み、さらに最後がngなので鼻から抜けていく感じで発音します。

また、なぜかピンインの母音が省略されてしまうケースも存在します。例えば三重母音の「iou」は綴りの上では「iu」となり、oが消えてしまいます。

こうしたピンインの難しさに慣れるのはかなり大変です。実際にピンインを紙に書いて覚えていくのも有効ですが、おすすめなのはスマホやパソコンにピンインのキーボードを入れて、それで漢字を打っていくというやり方です。漢字を打つためにはピンインが必要なので、嫌でも覚えてしまうでしょう。

入門レベルの単語・文法

発音を身につけたあとは、手頃な入門書を進めていきます。おすすめはこれ。

中国語の入門[最新版]《CD付》

中国語の入門[最新版]《CD付》

  • 作者:山下 輝彦
  • 発売日: 2016/08/27
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

単語と文法を最初の段階で個別に覚えるのは大変だと思うので、こういった入門書を読み進めていって単語も文法も身につけるというのが良いと思います。

文法は入門書一冊で基本はOK

英語やそのほかの外国語に比べ、中国語の文法事項は覚えることは少なめですし、自由度は高いといえます。

重要(しっかりと押さえてきたい)中国語の文法事項は、やはり語順と副詞・助詞の用法でしょう。中国語は言語の性質的に語順が変わると意味が真反対になることもある言語で、文中に置かれる品詞によっても何の前に置くのかなどが決まっています。

また、副詞の「就」や助詞の「了」などは日本語にはあまりなに考え方も含まれているのでマスターするのは大変です。

ということで、入門書の他にもう一つ、文法に特化した参考書を用意しておくのがおすすめ。

文法の勉強は、中国語の入門書や文法書を買って読み込むだけでなく、良質な中国語に数多く触れることが必要です。

中国語的な感覚を身に着けるために、Youtubeやウェブサイトで構わないので四六時中中国語に触れているくらいが理想です。

単語の覚え方

中国語の単語の大半は日本語と共通しています。「警察」「作者」「健康」などは漢字も意味も全く同じですし、「旅游(旅行)」「自行车(自転車)」なども日本語から意味を容易に想像することができます。その一方で、個々の漢字の読み方は全く違います。「警察」は「jing3cha2」、「作者」は「zuo4zhe3」、「健康」は「jian4kang1」です。

なので、単語の勉強法のコツとしてはやはり漢字の発音を覚えることに力を入れるのが良いと思います。特に、中国語は漢字の読み方がそれぞれにつき基本的には一つなので、1つの漢字を覚えるだけで語彙が広がりやすいのもメリットです。

ただし、中国語での動詞や副詞は使い方が複雑なことがあり、また接続詞や介詞は日本語にない要素も多いので、こういった品詞に関しては読み方だけでなくどういった使われ方をしているのか例文などを参照して覚えることも必要になってきます。

詳しい単語の覚え方はこちらを参考にしてください。

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 単語帳は買う派買わない派あると思います。入門書だけでも結構な単語量を吸収できます。また単語帳は買わずに、文章を読んだり会話をしたりしつつ自分自身で単語を身につけていくというのもアリだと思いますが、いずれ何かしらの資格を取ることを考えているのであれば、買ってしまうのもいいと思います。

HSKを目標としている方はこちらがおすすめです。4級に限らず、1級〜3級の簡単な単語も載っているので段階的に覚えることができます。

合格奪取! 新HSK1~4級 単語トレーニングブック

合格奪取! 新HSK1~4級 単語トレーニングブック

 

特に目標がない方は、とりあえずキクタンがおすすめです。文字通り「聞く」がメインの単語帳なので、中国語の特徴にあっています。

また、最初から手を出す必要はありませんが、最終的には名著「聴読中国語」に手を出せるようになるのが理想です。

聴読中国語 (東進ブックス)

聴読中国語 (東進ブックス)

  • 作者:津田 量
  • 発売日: 2008/12/10
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

この本は文章と一緒に単語を学んでいくタイプの単語帳で、中級以上を目指していくにあたっての必須クラス。

リスニングの勉強法

リスニングは、中国語学習において日本人の特に苦手な分野です。というのも、我々日本人は中国語で使われる漢字の大半を知っているので、すぐに漢字を頼りにしてしまったり、音を聞いたときにその意味のイメージではなく漢字が自然に出てきてしまったりと弊害も多いわけです。

そもそも中国語の聞き取りは単語を十分に分かっていないとできないので、先程紹介したような単語の勉強が基礎になってきます。それに加えていかに中国語の短い音を聞き取るか、というのが課題となります。

そのための練習法としてはディクテーションやシャドーイングが有効。詳しいやり方についてはこちらを参考にしてください。

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スピーキングの勉強法

スピーキングも、日本人が苦手とする部分でしょう。正しい発音ができているというのは大前提にしても、実際の会話で「なかなか中国語が出てこない」というのはあるあるだと思います。

スピーキングというのは、要するに「脳内で高速で中国語の文章を組み立てる能力」です。頭の中に中国語の回路ができていない状態では十分に話すことができません。中国語回路を作るためには、簡単なものだと「独り言勉強法」、ちゃんとしたものであれば「中国語の瞬間作文」がおすすめです。

独り言勉強法というのは、日常生活の中の独り言で中国語を使ってみるという者。話す相手がいなくても構いませんし、人のいる場所であれば声に出さずに頭の中で唱えるだけでも大丈夫です。その手軽さが魅力の勉強法です。

中国語の瞬間作文というのは、下のような教材を使って「日本語からの中国語訳」を大量にこなすというもの。今ではすっかりおなじみの勉強法です。

[CD2枚付]新版 口を鍛える中国語作文-語順習得メソッド【初級編】

[CD2枚付]新版 口を鍛える中国語作文-語順習得メソッド【初級編】

  • 作者:平山 邦彦
  • 発売日: 2017/07/26
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

まとめ

中国語は決して簡単ではありませんが、我々日本人にとってはなじみのある部分も多い言語です。その特長をいかして勉強をすすめていけば、半年で上級レベルに達するのも難しいことではありません。

別に机に向かって勉強しなくても、空いた時間に中国語のYoutubeを見るくらいでもOK。とにかく「継続する」ことを意識して頑張ってください。

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