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【中国語独学】超効果的なリスニング勉強法

日本人にとって中国語は近そうで遠い言語です。書かれた(つまり漢字の)中国語を見せられたら、中国語を勉強したことのない日本人でも半分くらいは意味が理解できますし、中国語をちょっとかじった人なら7割くらいは理解できてしまいます。ですが、リスニングの場合は話が別。ちょっと中国語を勉強したくらいでは、耳から聞こえるのはただの「よくわからない音」のままです。そういう意味で、日本人にとって読む中国語と聞く中国語はかなりギャップが大きく、挫折の原因にもなっています。ここでは、半年で上級レベルに達するためのリスニング勉強法ということで、効率的にリスニング力を上げる方法とおすすめの参考書について紹介していきます。

 

前提:発音と単語

発音(ここでは正しい発音ができる・ピンインが読める)は中国語学習の基礎の基礎です。最初の一ヶ月はここに費やしても問題ないくらいだと思っています。言うまでもなく発音をマスターしておかないとリスニングができません。発音の勉強法についてはこちらを参考にしてください。

ouban.hatenablog.com

同時に単語も超重要です。聞き取れない理由=単語を知らないだけだった、ということはよくあります。語彙は四技能全ての基礎です。

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リスニングは「音の聞き取り」と「意味の理解」の2つだが

「音の聞き取り」と「意味の理解」の2つによって、リスニング能力は形作られています。「音の聞き取り」というのは、話されている音を認識できているのかということ。「意味の理解」というのは、リスニングの音声を聞き取って、そこからどこまで意味を理解できるかということです。これまた当たり前ですが、音の聞き取りというのはあくまでリスニングの能力であるのに対して、意味の理解というの単語力と文法の理解が基礎になっている能力です。

例えば、意味の理解はある程度できていても音の聞き取りが苦手だと、言っている大体の内容はわかるんだけど肝心なところが聞き取れなかった、みたいなことが起こり得ます。音の聞き取りができるけど意味の理解が音声に追いつかないというケースもよくあります。

ですが、これは中国語以外の話。英語のリスニング力を向上させたいのであれば、当然この2つの方向からの異なるアプローチが必要になりますが、中国語は少し話が違います。

というのも、漢字は表意文字。我々日本人にとっては、中国語の文章を見て、さて声に出して読んでみようと思ったときに、意味は分かっても発音がわからないということが多いのです。

これでは意味の理解は進んでも全く発音と結びつきません。自分のレベルにあった文章を選んでこれるのであればこの点は問題ないかもしれませんが、いちいちわからない発音を調べたりするのはかなり大変です。

中国語のリスニング力を高めるためには、前者の「音の聞き取り」をひたすら鍛えていきましょう。

練習する前に知っておきたいこと

知っての通り中国語は方言が非常に多様で、普通話であっても訛りがかなり強いことがあります。東北地方と南方や台湾では、発音が全然違うので、片方に慣れていないと全然聞き取れないこともしばしば。そり舌音や、ngの音、erの消滅が代表的です。

その一方で、普通話を話している以上どんなに彼らの子音や母音が変化したとしても、声調は1声から4声まで保たれています。

ここで押さえておきたいのが、子音や母音以上に重要なのが声調に代表される言語のリズムであるということです。日本人が中国語を話す時、子音母音があっていても声調が間違っていれば通じませんが、声調さえあっていれば子音母音が少し間違っていても聞き取って守られることがあります。

私たちが中国語を聞き取る時も、子音母音を聞き取るのももちろん大切ではありますが、それ以上に文章の声調の流れを意識するようにして見てください。実際、中国語を母語とする人はそうした聞き取り方をしていると思います。

ディクテーション・シャドーイングで音の聞き取りを極める

リスニング勉強法のうち、音を聞き取る力を高めるのがディクテーションとシャドーイングです。

ディクテーションというのは、中国語句に限らず語学学習において非常にポピュラーかつ高い効果が見込まれる勉強法で、要するに「音声の文字起こし」だと思ってください。

それに対してシャドーイングは、中国語の音声を流しつつ、それに少しだけ遅れて聞いた文章をそのまま聞いた通りにリピートしていくという方法です。聞く行為と話す行為を両方同時にやるので、かなりの集中力が求められますが、口と耳の両方が音を覚えてくれるので、効果は絶大です。

一般的に、シャドーイングはディクテーションよりも高度なトレーニングです。非常に根気のいる作業ですが、効果は絶大。やってみることをおすすめします。

おすすめ教材

リスニングにわざわざ教材を買うべきか否かは意見が分かれるところではありますが、少なくとも中国語の場合は結構役立ちます。市販の教材を買うならこちらがおすすめです。

聴読中国語 (東進ブックス)

聴読中国語 (東進ブックス)

  • 作者:津田 量
  • 発売日: 2008/12/10
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

「聴読中国語」は超王道のリスニング教材(かつ単語帳)で、リスニング力を身につけつつ語彙も学べる良書です。最初の方は簡単な単語が多いですが、ページが進むごとに難易度がかなり上がってきます(HSK4級レベル〜)。もう少しレベルの低いものからやりたいという方は、試験を受けるつもりがなくてもHSK1級~3級の過去問が丁度良いと思います。

中国語検定HSK公式過去問集1級 2018年度版

中国語検定HSK公式過去問集1級 2018年度版

 
中国語検定HSK公式過去問集2級 2018年度版

中国語検定HSK公式過去問集2級 2018年度版

 
中国語検定HSK公式過去問集3級 2018年度版

中国語検定HSK公式過去問集3級 2018年度版

 

 また、HSKに限らず特定の試験勉強のためにリスニング力を伸ばしたい場合は、過去問の音声を使うのが一番手っ取り早い方法でしょう。

ディクテーション、シャドーイングの難易度でいえば、HSKと聴読中国語は比較的簡単な部類です。話すスピードも速くないですし、アクセントも標準的、表現も非常にわかりやすいといえます。

ディクテーションのやり方 

1.紙とペンを用意する(パソコンやスマホでもOK)

書いた漢字をしっかりと覚えるためには手書きでやった方がもちろん良いのですが、それなりに手間がかかります。

もっと効率的にディクテーションをしたい場合は、パソコンやスマホピンイン入力でもOKです。というのも、ピンインを打つというのは漢字を覚えることにつながるとはいえませんが、発音の仕方を身に着けるという意味では分かりやすいやり方です。

まあ、この辺りはあまりこだわらなくてよいと思います。

2.音源を一通り聞いてみる

ディクテーションをする音源を、とりあえず一通り聞いてみます。大体どんなことを言っているのか大意がつかめればベストですが、この段階では意味が分からなくても構いません。ここから何回も聞いて音を確かめていきます。 

3.区切りつつ音源を聞いて文字に起こす

一気にディクテーションをするのはかなり大変なので、文章ごとに区切ってディクテーションをしていくわけですが、短い塊ごとであるとはいえ簡単ではありません。

中国語というのは一つ一つの単語が非常に短い言語です。聞き取れなくても意味が取れることは多いですが、日本人にとっては特に単音節の単語が聞き取りにくいと思います。

実際には単語が聞き取れなくても意味が取れれば問題ないのですが、ディクテーションにおいては「どの部分が分かっていて」「どの部分が分からないのか」を理解するために何回も何回も聞いて転写していく必要があります。

その時に分かる部分はもちろん漢字で書くのですが、漢字が分からなかったり意味が分からなかったりするときは漢字ではなくピンイン書き起こします。

後者の場合は、単語自体は知っていても耳で聞いた発音からその単語がイメージできていないことが多いです。全て漢字で書けた方が良いのは当たり前ですが、後者のパターンだとしても正しくピンインで転写できていた場合は音の聞き取りはできているのだと自信をもって構わないと思います。

上手く聞き取れない部分は何度も何度も聞きなおして、自作のスクリプトを完成させましょう。

4.音読する

ディクテーションという勉強は3までで終わりですが、さらに学習の効果を高める方法としては「音読」というものがあります。

3が終わった段階で自作のスクリプトは完成しているはずですが、それだけだと聞き取ったのを書いただけでは効果は半減。できあがった自作スクリプト(漢字のみ)を何度も音読して文字と音の対応を確認しましょう。お手本の音声を何度も何度も聞いてきたと思うので、発音もかなりできていると思います。

具体的なやり方

1.ひと通り流す 

リピートをしていく前に、とりあえず一通り音声を流してみましょう。どんな上級者でも、本当に一度も聞いたことのない音声をリピートするのは大変な作業です。

2a.(ディクテーション済みの音声なら)ザッと全部やってみる

ディクテーションを一度した文章をシャドーイングするというのが、最も負担の大きいやり方ではありますが、一番おすすめです。

実際にリピートするとわかると思いますが、ディクテーションを済まして聞き取りができているつもりであっても、うまくシャドーイングができないところがあるはずです。

つまり、自分の聞き取れていないのはその部分です。一回やってみたあとは、その部分がスムーズにリピートできるようになるまでシャドーイングを続けます。

何回もこなせば自然とシャドーイングができるようになるはずですが、大切なのは暗記ではなく、「聞いた音をそのまま発する」という単純な作業です。 

2b.(初見なら)少しずつ区切ってやる

初見、つまりディクテーションをしていない文章の場合は、一気にこなすのは大変だと思うので少しずつ区切ってやるのがおすすめです。

それを何回もスムーズに全文がシャドーイングできるようになるまで繰り返します。

まとめ

流れを見ていただいてわかったと思いますが、ディクテーションもシャドーイングはあくまで「音を聞き取る」練習です。実際の会話で相手の中国語を聞くチャンスは基本的に1回、多くて2回でしょう。なので、1回聞いただけで相手の言っていることが理解できるレベルまでリスニング力は高める必要があり、それはつまり「意味の理解」の分野です。「意味の理解」の力はディクテーションによってはつけられないので、別のアプローチが必要となるわけです。

 

最後に:中国語に耳を慣らす

以上の音の聞き取りと意味の理解ができるようになれば、おそらく資格試験(HSKなど)のリスニングは簡単だと思います。ですが、やはりネイティブの会話を聞き取るには程遠いもの。資格試験の音源はテスト用の音源であって、実際の会話ほど早くもありませんし、非常にわかりやすい表現を使っています。

実際の会話の聞き取りをできるようになるにはどうすればいいのか、それはひたすら中国語の自然な音源をインプットしていくにつきます。インプットしていく具体的な手段としてはYoutubeが一番のおすすめです。

好きな中国語圏Youtuberの動画を楽しむ

基本はこれでOK。日本語の動画を見る感覚の延長線で構いません。字幕の有無はよく議論になりますが、個人的には字幕ありの動画を視聴するのがおすすめです。ただYoutubeの動画を意味も分からず聞き流しているのでは、せっかくの効果も半減です。字幕のありの動画で文字を追いながら、少しでも意味を理解しようとしながら見るのがよいでしょう。

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分からない単語を調べるのもアリではあるが

当然、Youtubeを見ていると分からない単語がたくさん出ています。いちいち動画を止めて、単語や文法を調べるのはダメとはいいませんが、どうしても時間がかかってしまいます。

分からない単語は適当にメモするなり、スクショしておくなどして後でアプリで調べるというやり方がおすすめです。

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